馬緤泊遺跡は能登半島外浦の海岸線から約100mほどの場所に位置し、海と山にはさまれた海岸段丘上にある遺跡です。能登の海岸線は古墳時代から平安時代にかけて土器で海水を煮る塩づくり(土器製塩)が盛んに営まれており、今回の調査では平安時代後半(10世紀~11世紀)と考えられる製塩炉が5カ所見つかりました。
調査地は現在水田になっていますが、耕地として埋め立てられる前は海岸の岩礁地帯が広がっており、炉は岩礁の上に粘土を貼って使用されていました。炉の大きさはそれぞれ約40~50㎝と小さく、貼られた粘土の層も薄いことから、短期間で小規模な製塩活動であったと思われます。そのほか、調査区東側では未使用の炉と思われる粘土床や、西側では柱穴や近世の塩田造成と考えられる土層を確認しました。なお、遺構面を覆う黒色土から12世紀の珠洲焼が出土しているので、そのころには製塩活動は行われなくなったこともわかりました。
遺跡名 | 珠洲市馬緤泊遺跡 |
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時代 | 奈良・平安時代 |